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電界強度とビット誤り率

2008/05/26

所要電界強度

地上放送の電波の強さは電界強度で表されます。アナログUHFテレビ放送の所要電界強度は、70dB(μV/m)と定められています。
デジタル放送は、アナログ放送に比べ雑音や混信に強いので、地上デジタル放送の所要電界強度は、アナログ放送より10dB(μV/m)と定められています。地上デジタル放送の所要電界強度60dB(μV/m)を定めるにあたっては、放送エリア端付近でのフェージングによる電界低下を考慮し、約9dBの時間率マージンを加えています。(本章10、技術資料7参照)

クリフエフェクト

図に、送信所から近い純に地点A、地点B,地点Cと3つの受信点がある場合の、各地点における受信電界強度と、受信画質の関係を示します。受診電界強度が高い地点Aはアナログ放送もデジタル放送も良好に受信できています。地点Bでは、受診電界強度が低くなり、アナログ放送にはスノーノイズ症状は少し現れますが、デジタル放送は地点Aと同じく良好に受信出来ています。さらに、受診電界強度が低くなる地点Cでは、アナログ放送はスノーノイズ症状はひどくなるものの
番組内容は分かりますが、デジタル放送はまったく受信する事ができなくなります。
このように、デジタル放送には、受診電界強度がある値を下回ると受診画質が急激に悪化する性質があります。
この性質をクリフエフェクト(Oliff effect:崖効果)と呼んでいます。
地上放送ではフェージングの影響により放送区域の端付近において電界強度が変動することが避けられません。一般に、この現象は送信所と受診点との距離が大きくなるほど顕著になります。したがって、親局など大規模送信所の放送エリア端付近では、特にクリフエフェクトに注意する必要があります。
また、地形の影響を受け電波が局部的に弱くなることがあります。UHF帯の電波は、VHF帯の電波に比べまわりこんで進む性質が弱いので、クリフエフェクトに注意する必要があります。
受診画質の劣化を送信所で改善するには、ギャップフィラー(Gap filler)と呼ばれる微小電力の送信所を建設する方法などがあります。
また、これを受診側で改善するには、受診アンテナの設置場所を移動したり、高さを調節したり、また受診アンテナを高性能なものに変更する方法などがあります。

所要CN比

搬送波電力と雑音電力との大きさの比をCN比といい、受信機が安定して信号を変調できるのは限界のCN比を所要CN比と言います。
デジタル放送では、受診電界強度が弱くなっても、所要CN比を上回っていれば劣化のない鮮明な画面が得られます。

ビット誤り率(BER)と所要CN比

地上デジタル放送の受信特性の評価には、デジタル信号の誤りビット数と、伝送したビット数の比であるビット誤り率(BER)が用いられます。
BERはBit Error Rateの略で、BERが1×10のマイナス11乗(1000億ビットに1ビットの割合で誤る)以下であれば、実質的に誤りのない状態とみなし、これを擬似エラーフリーと呼んでいます。
一般にはBRBは、ビタビ復号部の出力(畳み込み符号を解いた後)について測定されます。ビタビ復号後のBRBが2×10のマイナス4乗以下であればリードソロモン(RS)復号後に擬似エラーフリーとなるため、地上デジタル放送が受診可能か否かは、ビタビ復号後のBREが2×10マイナス4乗以下となるか否かで判断し、BERが2×10のマイナス4乗となるときのCN比を所要CN比としています。
本章3で述べたように、所要CN比は変調方式や畳み込み符号の符号化率によっても異なります。次図にマルチパスがない常態(ガウス雑音下)で、変調方式ごとにCN比に対するBERを測定した例を示します。この実験例では、ビタビ復号後のBERが2×10マイナス4乗となるCN比はQPSKの場合約8dB、16QAMの場合約21dBとなっています。 またビタビ復号後のBERが2×10マイナス4乗となるCN比は、受信機の性能やマルチパスの状況によっても異なります。

マルチパス妨害がある場合の所要CN比

電界強度が60dB(μV/m)以上あれば安定に受診できますが、マルチパスによる妨害が強い場合にはデジタル信号の誤りは増え、正常に受信できないことがあります。マルチパスの強さは、希望波電力と反射波電力との大きさの比(DU比)で表されます。DU比=10dBとは、希望波の10分の1の電力で反射波が受信機に入っている状態を言います。したがって、DU比の値が小さいほど、マルチパスによる妨害が強いことになります。
マルチパスなどにより受信品質が劣化する場合は、その劣化分を補うだけの信号電力が必要となります。次図にマルチパスがある場合のCN比対BER特性の室内実験結果を示します。
この実験装置では、変調方式64QAMで畳み込み符号の符号化率が7/8のとき、BERが2×10マイナス4乗となるCN比はDU比10dBのマルチパスの場合、約24dB、DU比3dBのマルチパスの場合、約31dBという結果が得られています。畳み込み符号の符号化率が大きい場合、マルチパスの影響を受けやすくなることが、この結果からわかります。
また、図の例では符号化率を3/4にすると、BERが2×10マイナス4乗となるCN比はDU比10dBの場合、約22dB、DU比3dBの場合、約27dBとなり、符合化率が7/8の場合に比べ約2~4dB改善されています。


出所:知っておきたい地上デジタル放送(NHK出版)


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